不活性ガスの窒素が見せる包装の裏技

食品の変質・変色を抑える包装技術のポイントは、包装内の酸素を如何に抑制できるかと言われています。

その一方法として「ガス置換包装」というものがあります。原理的には目新しいものではなく、その始まりは古代中国と言われています。

倉庫などに入れた穀物や食品と一緒に油をいれた容器をいれ、その油を燃焼させることで酸素を消費させ長期保存に対応していた、という記録も残っています。

英国でも牛乳瓶の上部すきまに二酸化炭素を封入し長期保存させるという方法を考え出したと言われています。

そしてこの方法が一躍商用化に進んでいったのが最近になってからというのが少し意外に感じます。

それまでは食品に保存料を添加して腐敗に対応していた時期もありましたが、健康志向という時代の流れや、各種の保存技術向上がその復活を後押ししたものと思われます。

このガス置換包装に使用される不活性ガスとしては、窒素や二酸化炭素が一般的ですが、酸素自体が特殊用途で選択されることもあるようです。

窒素は無味・無臭・無色の不活性ガスですが、それ自体で菌を抑える作用はなく、むしろ食品の酸化防止や変色防止に寄与していると言われています。

一方の二酸化炭素には水や油などへ溶解してしまい炭酸となることで食材の味に少なからず影響を与えてしまうという特性はありますが、細菌の抑制・防虫作用があり生肉や和菓子などの保存に広く使われています。

但し、二酸化炭素は包装用フィルムを窒素よりは透過しやすいため、窒素との混合ガスにして使われることが実態のようです。

ガス置換包装として酸素が使用されるのは意外に思われますが、これは鮮魚や生肉のような赤味(酸素と結合した肉色素によるもの)を引き立たせたいという時に二酸化炭素との混合ガスとして使用されているようです。

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