最近包装関連でよく「高機能包材」という言葉を耳にします。
具体的には水蒸気や酸素など包装する内容物となる食品に悪影響を及ぼす因子を遮断する機能を高めたもの、いわゆるハイバリアーフィルムなどを指しているようです。
従来は、食品自体に酸化防止剤などの添加物を入れて防いでいた時期もありましたが、健康志向の高まりでその使用はしりつぼみとなり、とってかわった脱酸素剤を包装内に入れる手法から、更に包装用フィルム自体に酸素吸収機能をもたせるという進化の過程で生まれてきたものです。
例えば、お馴染みの小袋となる「パウチ」や炊き上がり米飯に使用されるトレー、ゼリー食品の容器蓋に使用されているシール用フィルム、羊羹などにみられるガゼット袋、マヨネーズのブローボトルと多種に応用されています。
これらの物も従来アルミ蒸着フィルムはよく見かけましたが、今では透明フィルムで同様機能を満足するものが開発され実用に供しています。
また以前使われていたKコートと呼ばれるフィルムは燃焼時有毒ガスが発生することからいまではそれに代わるフィルムも開発され置き換わっています。
他にも酸化ケイ素や酸化アルミニウムの透明蒸着フィルムやさらに「ナノコンポジット」と言った複合材料や「ハイブリッドコート」と枚挙にいとまがないほど各種高機能包材が生まれており、その進化は留まることを知りません。
これはとりもなおさず、包装なくして現代の食品流通は立ち行かないことへの裏返しと言えるのかもしれません。
すすむ高機能包材の透明化
食品の包装技術は、酸素や水蒸気との闘いと言ってもいいかもしれません。
昨今よく目にする「高機能包材」はまさに闘いより生まれた成果の結晶と言えるでしょう。
開発・実用化されているこの種の包材は多岐にわたります。
従来よく使用されていたのが、アルミなどをフィルムに蒸着して機能を高めていくという方法でした。
それが現在では透明のフィルムで同様機能を達成するものが開発され実用に供されています。
そこには用途に応じコントロール可能とすべく幾重にもフィルムを積層し特性を満たすように仕上げている、という事のようです。
このミクロンオーダーでの積層技術も高機能包材の製作に大きく貢献していると言えるでしょう。
このようなち密な製品にまとめていけばいくほど、その製作に関わる管理も雪だるま式に大変なものとなってきていると言われています。
なお一般的に、OPP袋やナイロン袋等は透明な包材として広く重宝されています。
透明な袋自体はその便利さから既に広まっていることを考えると、透明化した高機能包材もさらに活躍の場があるのではないでしょうか。
食品の品質を保つために
食品に影響を及ぼす因子には他にもあります。例えば光線もその一つです。
酸化や変色、更には香りにも影響していると言われています。光線のうちで可視光線でもかなりのエネルギーを擁しています。
よく見かけるのが、茶葉の包装袋の内面にみるアルミ蒸着。
従前では茶葉は茶筒と呼ばれる金属缶に入れて都度使用していましたが、これなどはまさに外気や光を遮断して、長期にわたって美味しいお茶が飲めるようにする、という先人の知恵でした。
これが流通段階では使用原料の削減からアルミ蒸着包装材に置き換わっていきました。
ただこれも金属缶と同様、中身がみれないということに変わりはなく、いつしか同様機能を透明フィルムで満足させようという動きになっていったと考えられます。
これは、スナック菓子などに顕著に表れてきました。一時は小窓を開けるなどの工夫もされましたが、やはり透明で中身が見える包装に消費者の心は動くものです。
また、光線の中で紫外線の影響もばかになりません。
この対策としては包装表面の印刷用インクで工夫したり、赤色でお馴染みのソーセージの包装は実は紫外線吸収の手立てで使用されていたり、アルコール飲料の着色も紫外線対策のためでもあると聞くと、包装の奥深さがひしひしと感じられて仕方ありません。